絵の前できみは話す


絵の前できみは話す。
そしてきみの記憶を共有する。

絵はわたしたちをうつす。

たわいもない会話をする。
絵はわたしたちの記憶を思い起こさせ、きみの楽しいことや辛いこと、今日はいい天気だね、なんて話をする。

絵は世界だから。
世界の前で世界だけをみることが重要なわけではない。
世界できみがうつって、きみは思いを巡らせ、そしてわたしは疑問に答えたり、傾聴したり、話したりする。

正解なんてない。
こうしなければならないなどという取り決めがあるのならば、そもそも芸術は必要ではないでしょう。
別でやればいいだけのこと。

わたしはただの作家です。
みる人の意識や在り方をコントロールすることはない。
あなたはしあわせになったり、考えたり、はたまた不快になったりする。
わたしの思う作家とは、そういう環境を作品を通してつくる人です。

話したい人は話したらいいんだよ。

それは愛だった


泣き出してしまった。
それは愛だった。

わたしはこわかったんだね。
誰を敵にしても味方にしてもいいよ。(そもそもそんな概念すらどっちでもいいんだよ。)
ただね、きみには信じてほしかったし、信じたかった。
きみを悲しませたりしたくないし、きみに悲しまされたりもしたくないよ。
愛してるよ、ていいたくて、それがちゃんと伝わってほしかった。
なんだかわからなくなったとき、わたしは泣いてしまったんだね。

相変わらず下手だなぁ。
信じるのも、愛するのも相変わらず下手だなぁ。

新しい世界をもらった。うれしかったなぁ。
全てが存在する荒廃した地。気持ち悪いものや苦しい状況も存在する一度終わった世界。
草原と水。蜃気楼のように街が光っていた。
とっても美しくてまぶしくて、子供みたいに笑ったよ。

わたしは歌をうたうだろう。そして踊る。
きみの地面だよ。

トゲトゲした形は包まれることはないけれど、いつかまた笑う。
わたしはわたしをちゃんと連れて、今日も明日も絵を描くよ。

みんなありがとう。