迷いがないね、というお言葉をよくいただくのですが、それは過去があったからだったりするよ。
迷った日々がとても長く、そして多かった。
わたしは2005年ごろから展示を始めました。
今とは想像がつかないようなイラストレーションのような絵をマーカーで主に描いていました。
下書きもなく続く線たちはどこまでも伸び、描かずにいられない衝動が当時のわたしを救いました。
だが、それもいつか果ててしまう、と薄々勘づいていたわたしは様々なアプローチをはじめます。
描くことは勿論、美術自体に恋に落ちていたからです。
つくるとともに学び、考え、分析しました。
今でこそクラシックな絵が好きなわたしですが、バリバリの現代アートなんてものも好きだったので、ぐるぐる考える日々が続きました。
そうこうしていると、そもそも形にとらわれることが嫌いなわたしがなんで線を引っ張っているの?という疑問が生まれます。
具象主義でない家で育ち、抽象画を愛する母の元に生まれたので、わたしの原風景はモチーフがいない可能性が高い。
あ、そこに還りたい。
筆は下手でした。でも生活している「手」てやつは器用なものでなんでもこなそうとがんばります。
近くにいきたい。もっと中へ。
そんなことを思っていたら道具はいらなかったのです。
考えることはとりあえず考えたので、次考えるときは1000枚描いてからにしよう、と決めました。
続くよ、修行のような日々。
色が出ないこと、勢いが出せないこと、本人の方が派手で面白く、過激であることがとても悔しかったのを覚えています。
点が線になり面になりまた分解して最終的に空になる。
何も描かないことが理想。(その日はまだ来ない。)
今回の個展ではどうしても展示したい子たちが何人かいます。
それはわたしをつくっている真っ最中、大事なときの大事な絵だからです。
どれもかなり苦戦しましたが、すごくすごく好きです。
今のわたしもわたし、でもあのときのわたしがいるからわたしが続いてるんだよ、て。
そしてこの先も、きみの元へもつづくよ。
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くつなまい個展 my room, my love
2025年4月2日(水)〜19日(土)
12:00~17:00
営業日:水曜〜土曜日
手づくりのモノ nu:no
愛媛県今治市松本町3-6-3
https://www.instagram.com/nuno_424/
080-8631-7377