絵の前できみは話す


絵の前できみは話す。
そしてきみの記憶を共有する。

絵はわたしたちをうつす。

たわいもない会話をする。
絵はわたしたちの記憶を思い起こさせ、きみの楽しいことや辛いこと、今日はいい天気だね、なんて話をする。

絵は世界だから。
世界の前で世界だけをみることが重要なわけではない。
世界できみがうつって、きみは思いを巡らせ、そしてわたしは疑問に答えたり、傾聴したり、話したりする。

正解なんてない。
こうしなければならないなどという取り決めがあるのならば、そもそも芸術は必要ではないでしょう。
別でやればいいだけのこと。

わたしはただの作家です。
みる人の意識や在り方をコントロールすることはない。
あなたはしあわせになったり、考えたり、はたまた不快になったりする。
わたしの思う作家とは、そういう環境を作品を通してつくる人です。

話したい人は話したらいいんだよ。